アトピー性皮膚炎の採血でわかること、TARCやIgEとは?(保険が使えます)
■TARCとは?
アトピー性皮膚炎の重症度がわかる血液のマーカーです。
みためではわからない、かくれた炎症も測定できます。
●TARCの有用性
・アトピー性皮膚炎がうまく治療できているかを確認できます。
・皮ふの状態が数値でわかるため、はっきりした治療の目標値を持つことができます。
・当院のTARC目標値は、500以下です。
・見た目はよくなっていてもTARCが高値を示すときには、隠れた炎症が残っています。
・しっかり外用して皮ふの状態がよくなれば、TARCの値も下がります。
・定期的に検査を行うことで、適切な治療法がわかります。
●TARCの血液検査の料金
1030円
(保険で月に1回まで検査できます。)
●TARC値とアトピーの重症度
TARC値
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重症度
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成人 |
700pg/ml未満
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軽症
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成人
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700pg/ml以上
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中・重症
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小児:2歳以上
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760pg/ml未満
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軽症
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小児:2歳以上
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760pg/ml以上
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中・重症
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成人
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450pg/ml以下 |
小児 (2歳以上) |
743pg/ml以下 |
小児 (1~2歳) |
998pg/ml以下 |
小児 (6~12ヶ月) |
1367pg/ml以下 |
■IgE検査
IgE抗体(アイ・ジー・イーこうたい)は、アレルギー体質の強さを示します。
●特異的IgE検査(RAST)
ダニ、カビ、花粉など、個別のアレルギーのおこりやすさ
●非特異的IgE検査(RIST)
全体的なアレルギーのおこりやすさ
「IgE値が低くてもアトピーが重症の人」もいるし、
反対に「IgE値が高くてもアトピー症状がない人」もいます。
必ずしも「IgE値 = 症状の強さ」ではないのが、判定や説明の難しいところです。
80%のアトピー患者でIgEが高く、20%の人では低いことが知られています。
なぜかというと、アトピー性皮膚炎は「IgEによるアレルギー」だけでおこる病気ではなく、
様々なアレルギー反応や、刺激、乾燥、ストレスなど様々な要因が、複雑にからみあって発症するからです。
確かに、アトピー性皮膚炎では、IgE値が高くなりやすいです。
しかし、症状の変動、アトピーの重症度を鋭敏にあらわすのは、TRAC値なのです。
●特異的IgE検査(RAST)の料金
健康保険で測定できます。以下の金額は3割負担の場合です。
特異的IgE検査では、1項目が110点ですので3割負担の方で330円です。
これに、判断料144点が加わるため430円が加算されます。
初再診料、処方料などは別途必要です。
結果は1~2週間で出ます。
1種類検査したとき | 約 760 円 |
5種類検査したとき | 約 2,450 円 |
10種類検査したとき | 約 3,770 円 |
●従来のアレルギー採血のほかに、
20分ですぐに結果がわかる検査も、
当院では可能です。
採血が苦手な方でも、
簡単な方法で調べられますので、
ご相談下さい。(いずれも保険適応です)