漢方専門医の皮膚科診療
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皮膚の病気はなぜ難しいか?

難治性の皮膚病であるアトピー性皮膚炎が増加していますが、
これは、現代人のライフスタイルにも原因があると考えています。


冷暖房完備の部屋で、パソコン、スマホを一日中使用する。
交通手段は、車や電車、バスで意識しなければ歩きません。
生活の便利さと引き換えに、
神経過敏、不安、不眠になり、運動不足、体を冷やす生活様式により、
皮疹が治りにくくなっている患者さんを多く見かけます。


毎日たくさんのアトピーの患者さんを診察して思うことは、
アレルギーは、陰陽表裏のアンバランスから生じるということです。


皮膚科では、ぱっとみ=望診が中心になりがちです。
(望診:皮膚や髪、爪、舌、姿勢や動作を見て、病態を診察する方法)


顔が真っ赤でかゆみが強いと、
どの患者さんも一見、陽証(病状が動的で、代謝が亢進している状態)にみえます。


しかし、実際に腹診をすると、異なることがあります。
表に熱がありながら、裏に寒があること(真寒仮熱)です。 


なぜ皮膚疾患の治療が難しいか?と申しますと、
真っ赤=熱という単純な公式が、皮膚疾患では通用しないことがあるからです。
誤って白虎湯を使ってしまうような真武湯証、四逆湯証が皮膚の病にはあります。


そのため治療に際しては、
体表の寒熱に惑わされず、
体内に何が邪気としてあるのかを見抜くことが、大切になります。


私の師匠である
金匱会診療所の山田光陰先生から、
陰陽虚実、表裏内外』という言葉を賜りました。


皮膚科医として表を診ることはもちろん、
漢方専門医として、陰陽虚実、表裏内外をしっかり捉え、全身を整えていきます。